観ようと思ったわけでもなく、たまたま点けたら放映されているというパターンで、でもしっかり最後まで観てしまうテレビ番組がある。「魔改造の夜」。某国営放送にしてはかなりツッコんだ作りのバラエティだ。
今回は第13回目で、人間なら10メートルも飛ばないだろうジュースの缶を、改造した「恐竜ちゃん」のおもちゃで30メートル飛ばそうという企画。因みに前回12回目は「ワニ水鉄砲」を改造して7.5メートル離れた巨大ケーキの10本のろうそくを消しちゃおうというやつ。こんなたわいない企画が毎回なのだが、それに挑戦するのは有名企業や大学生。企業の・学校の名誉を背に、与えられた90日間ほどの時間でアイデアを具現し、「夜会」と呼ばれる本番に挑む。その総てがドキュメンタリー。当然計算通り動かない失敗もある。試技のチャンスは2回。1回目が終わると10分間の調整タイムが設けられ、失敗をリカバーするべく技術の粋をつぎ込む。有能な技術者集団が毎回、試技の失敗や成功に涙し歓喜する。たわいないことにホンキで取り組むことこそがこの番組のミソだろう。
そういえば、新宿区PTA連合会大会で講演してくださった松居和さんも同じようなことを語っておられた。「受験戦争は子どもたちが役に立たないことに取り組むこと。それを親子で乗り越えていく。そこで絆が育つ。それが良い」。
「コスパ」という言葉が定着して随分と時間を経た。日本語では「費用対効果」。今はあらゆることが「コスパ」で瞬時に測られるようだ。準じて「タイパ」という言葉も定着した。「時間対効果」。最近は「スペパ」なんていうコトバまであるそうだ。共通して重要なのは「対効果」。つまりは「費用・時間・空間」で「ムダを省く」ということに尽きる。
だが、人生はムダの連続ではないのか。ムダを介してこそ「生きる」ということを知るのではないのか。「パ」だけで良いのか?
2024
01Dec