下北半島は鋭利な鉞(斧?)に似ている。
左に刃がくるように置いて、柄の一番下端辺りが小川原湖、上の端が尻屋崎、刃のてっぺんが大間、刃の下端が脇野沢、柄から刃に向かう一番細いところがむつ市、柄の外側が太平洋、内側が陸奥湾。ざっとこんな位置関係。丸二日間かけてこの下北半島をほぼ一周したのが今回の旅だった。
今回は「宗教者核燃裁判」のお手伝いでマイクロバスの運転手として同行した。どうしてそういうツアーが組まれるのか、それは下北半島が核燃と軍事の拠点だらけだからだ。
訪ねた順に記せば、先ず小川原湖の北側に六ヶ所村がある。ここには核燃料のサイクル施設がある。再処理工場、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、MOX燃料工場、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センターがこの一帯に置かれている。余談だが、再処理施設建設当初胡々を訪ねたことがあるが、有刺鉄線とフェンスに囲まれたそのフェンスに「ゴミを捨てないでください」という看板があった。なんという笑い話。
むつ市の津軽海峡側には原子力船むつの原子炉が「科学技術館」という博物館に保管されている。その近くにはリサイクル貯蔵センターがある。廃品回収所ではない。核廃棄物がキャスクという金属製のバカでかいドラム缶に入れられて置かれている。
大間にはフルモックスの原発が建設途中。おそらく日本一集落・民家に近い原発だ。
東通り(鉞の柄の太平洋側)には原発20基分の用地が確保されているが、東北電力の1基が建設され検査待ちの状態。
そしてその施設を飛び飛びに軍事施設が点在している。三沢基地(米軍・自衛隊)、天ヶ森対地射爆場、六ヶ所対空射爆場、海上自衛隊大湊基地、猿ヶ森射爆場、ガメラレーダー(警戒管制レーダー装置)…。
これらはあまりに人の命に対して寒々しい。風景以上だ。
2024
13Oct