相変わらずスコールのような激しい雨が各地で被害をもたらしている。関係のある土地であることも珍しくなく、時折放映されるニュース映像に釘付けになるのだが、一方四谷ではそんな雨以後、漸く暑さも一段落した気配がある。
四谷中学校グラウンド横の土手は彼岸花の楽園のような場所。いつの間にか花が咲いて、「あぁ」と思ってきた。普段通る時も気にしているつもりではあったのだが、実際そんなに観察してはいなかったわけだ。急激に茎を伸ばして花を咲かせる彼岸花の生態には少なからず興味はあったのだが。
盛夏の少し前、その道路にチューリップよりちょっと小ぶりの煤黒い球根が一個落ちていた。土手を掘ったりしたら軽犯罪だが目の前に「もらって頂戴」とばかりに落ちているものだから、つい持ち帰った──いや、これも軽犯罪かな(汗)。彼岸花の球根だろうとはすぐ見当が付いた。そこで余っていた鉢に植え、酷暑の間はたっぷりと水をあげていた。1ミリほども変化のない日々が続いた。ところが前述のスコールのような雨が降り、日没後の気温が少し落ち着き始めた頃、ふと見ると球根から5ミリほど緑色のものが顔を出していた。
翌日は庭に降りるチャンスなく過ごし、さらにその翌日、なんと茎が5センチほどに伸び、しかもその先端には既に花芽が点いている。そしてあれよあれよという間にどんどん茎が伸びて、わたしが町田出張で不在の18日、ついに開花したのだった。その生態は謎のままだが、やはり彼岸花は彼岸までには咲くのだった。あの煤黒い小さな球根のどこにこんなにも正確な時計が仕込まれているのだろう。いやはや恐れ入った。
おそらくもう数日この可憐で美しい花は咲きほこり、やがて枯れて茎が倒れてから、今度はニラのようなスイセンのような葉が茂りだし、うまくいけば球根が増えるかも。で、その横に未だにイチゴがちいさな実をたくさん付けているのだが…(謎)。
2023
24Sep