「あなたがたはキリストの体であり、また、一人一人はその部分です。」(Ⅰコリント12:27)
クレーンゲームって知っていますか。矢印のボタンを動かすと大きな爪がガラス窓の向こうに行って、次のボタンを押すとそれが左に動いて、ボタンを放すと下に降りていって景品をつかんだり引っかけたりして、取り出し口まで運んでくれます。大きなぬいぐるみを抱えている人はだいたいクレーンゲームでゲットした商品だったりします。
ワタシはこれが下手でねぇ。なかなか欲しかったものが取れませんでした。
ところで、もう一回クレーンゲームを頭の中に描いてください。大体わたしたちはクレーンゲームを楽しもうと思う人間のほうですから、あの大きな爪をどうやったら欲しいものに上手に引っかけられるかだけを考えますよね。
いまから、自分の考えをちょっとだけ別のところに置いてみます。クレーン、あの爪の方ではなく、とられる人形とか景品の方に自分がいると思ってください。
さぁ、ゲームが始まりますよ。ぐぃーんとクレーンが動き始めます。いきなり自分の上に見たこともないでっかい爪が降りてきたらビックリして叫んでしまいそう、助けてぇ〜〜、ぎゃぁ〜〜〜。
今、世界では戦争をしている国があります。たくさんの人が死んだり血を流したりしています。街は爆弾ですっかり焼けてしまっています。それだけでなく国の中の人を逮捕したり殺したりしている国もあります。自由が良いと口にするだけで逮捕されたり行方がわからなくなったりしている国もあります。遠い外国で起こっていること、わたしたちには何も出来ないと悲しくなります。せめて神さまが直接、そういう国に手を伸ばして、平和を与えてほしいと願ったりもします。
でも、もし神さまが直接お空から手を伸ばして来たとしたらどうでしょう。さっきのクレーンゲームを思いだして。頭の上に突然空からクレーンが、大きな爪が降りてくる、なんてことは、残念ながら起きません。神さまがお空から手を伸ばして、わたしたち人間の世界に手を突っ込んでくるなんていうことは、神さまはぜったいになさらないのです。
じゃぁどうしたらいいんだろう。どうやったら戦争を止められるんだろう。どうやったら世界が平和になるんだろう。
神さまはとても不思議なかたです。神さまが直接手を伸ばしたら簡単に解決しそうなときでも、神さまはわたしたち人間を信じて待っていてくれるのです。神さまが手を伸ばす代わりに、人間の手や足を神さまは使ってくれるのです。どんなに小さな手や足でも、神さまはこのわたしの手や足を神さまの手の代わりに使ってくれるのです。だからわたしたちは、わたしたちの手を伸ばして、わたしたちの足を使って、平和をつくる人になるのです。
誰かが──神さまがうまくやってくれるんじゃね? ではなくて、難しくてとてもできそうにないけれども、でも私の手や足をわたしが使う、そうやって世界が平和になるように考え、行動するしかないのです。その時必ず神さまはわたしたちを信頼して、応援してくれるに違いないのです。
お祈りしましょう。
天の神さま。神さまはわたしたちの世界に直接手を伸ばしてはくださらないことを知りました。その替わりに神さまは小さなわたしたちの手や足をお使いになるのだ、と。神さま、私の手や足を神さまの御用のためにお捧げします。どうぞ神さまのお心の通りにわたしたちを用いてください。このお祈りを、イェスさまのお名前によってお捧げいたします。アーメン。