この26日、1つの重大な選挙が投開票された。北海道寿都町長選挙だ。
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に向けた文献調査を受け入れると表明した現職の片岡春夫さんと、撤回を求める越前谷由樹さんとの争い。町の関心も高く、2,448人の有権者中2,058人が投票、投票率は84,07%だった。
この数字、今日の国政選挙などでは遙かに及ばない高い数字だが、寿都町では前回選挙(平成13年)より2,79ポイント下がったという。
開票の結果現職片岡氏が1,135票、越前谷氏が900票と235票(有効投票総数の11%だな)差で現職が再選された。結果を受けて「非常に複雑な思い。町民の理解が得られるよう勉強会などを開いていきたい」と当選した片岡氏は語ったらしい。
私は原発反対。危険すぎるこのシステムを一日も早く手放してほしいと心から思う。原発が今日なくなっても今抱えている核のゴミは処分しなければならない。だがせめてそれをもう増やさない選択をしたいのだ。
一方、地方寒村の出身者として、地方の町村が文字通り限界集落化していく現実も肌でわかっている。文献調査を受け入れるだけで手に入る最大20億をみすみす手放して良いのかという思いも、痛いほど分かる。
今回の寿都町の選挙結果は、町民も同じ思いの表れだという気がする。手放しで賛成はしないが、町が立ちゆかなくなるのも困る。であれば手にできるモノは手に入れよう、と。それを誰が批判できよう。
だが本当に考えるべきなのは、このまま地方がどんどん衰退するしかないこの国のありようだったのではないか。一地方自治体にその解決を迫るのは間違っている。今日の選挙、ばらまき政策だけ目立つようでは、本質の議論は望めそうもないなぁ。