文部科学省は幼稚園設置基準第3条を31年ぶりに見直し「1学級の幼児数は、30人以下を原則とする」ことにしたという。35人を30人に変更するわけだが、松本洋平文部科学大臣は20日の記者会見で、「よりきめ細かく、質の高い幼児教育が提供できる」と述べたようだ。
まぁ「質」という点で見たら35人より30人のほうがきめ細かく子どもを見る環境であることは間違いない。ところが、たぶん多くの幼稚園ではこんな数字はとっくにクリアされているだろう。1クラスに30人を留め置くことの出来る幼稚園が、この国に一体どれくらいあるだろう。
幼稚園は3年保育を行っている園が多いわけで、最低でも3クラス(各学年1クラス)は存在する。その1クラス定員30人として、つまり幼稚園全体で90人規模を維持している園は全国でどれくらいの数なのだろうか。四谷新生幼稚園でも数年前までは3クラス60人程度は確保できたが、コロナ後に急激に減少している。新宿区でも私立幼稚園全9園の園児は5年前には1000人を超えていたのが600人まで減少している。ある統計では予測した園児減少数より現在は17年前倒しで進行しているという。つまり本来の予測では2045年頃の減少数を2025年の今日既にクリアしてしまっているということだ。
こういった驚くべき数字が文部科学省に知られていないわけではあるまい。それにしてはこの文科大臣の発言はなんとも危機感のない、浮世離れした戯れ言にしか聞こえない。
今は幼稚園がその危機の最前線にいるかも知れない。以後危機はずっと続くことを思うと空恐ろしい。だがこの危機はやがて順番に社会に蔓延してゆく。それは燎原の火のように明らか。そして3代前の総理が「異次元の少子化対策」と発言した中味が少なくとも文科省としては「35人を30人に」だけ!
暗澹たる思いだ。
2026
22Feb
四谷快談 No.256 暗澹


