熊鈴が売れているという。
わが故郷秋田の親類縁者が暮らす地域や青春時代を過ごした秋田大学、そして千秋公園。市街地(繁華街)でもこれだけ熊被害が出ているのだから、ちょっとした散歩や買い物でも注意するに越したことはないということなのだろうか。
しかし、熊鈴屋さんには申し訳ないが、私は熊鈴と聞くとどうしても「森のくまさん」が思い出されるのだ。「あるひ もりのなか くまさんにであった はなさくもりのみち くまさんにであった」のあれだ。どこにも鈴は出てこないのだがどうして。それは「熊鈴」という言葉の響きがなんだか長閑だからだ。そして今日本中を震撼させている熊は、本当に鈴の音で退散してくれるのだろうか。どうもそうは思い難い。
もちろんこれから軍隊が熊の駆除に付き合うらしいし、警察官もピストルではなくライフル銃を携帯するようになるらしい。市街地でも箱罠だけでなく「緊急銃猟」が可能になった。熊にとってはうっかり市街地を歩いたら銃で駆除されるようになったわけだ。とは言え猟友会員や警察官が市街地で銃を発射するわけで、その行為の責任を巡っては現場も混乱するだろうことが容易に想像出来る。また「害獣」は熊だけに限ったことではない。大日本猟友会によると昨年1年間にクマを計約9100頭、今年に入り5000頭を捕獲した。シカやイノシシも年間に100万頭以上を仕留めているという(2025/11/5付産経新聞)。これだけの駆除を猟友会員が担っているわけで、その重労働ぶりに狼狽える。
そう言えば「熊撃退スプレー」を巡って中国産のニセモノが横行しているとテレビで報道していた。まぁいつもの特定外国人非難論調。撃退スプレーを巡っては例えば米国には性能基準があるらしいが日本にそんなものは無い。となればホンモノだって有効かどうかわからないではないか。
緊急に、しかし冷静に対処すべき問題なのだと思うよ。
2025
09Nov
四谷快談 No.241 くま


