ヨハネ16:31−33
「あしあと」という詩があるので紹介しますね。簡単にあらすじだけ言います。
イエスさまと二人で歩いている夢を見たのです。砂の上にイエスさまと私の二つの足跡が続いている。でもところどころ足跡が一人分しかない。それは私がいちばん苦しい悲しい時だった。それでイエスさまに言ったのです。「あなたはいつも私と一緒にいるって言ってくれたのに、いちばん辛くて悲しい時に、私がひとりぼっちだったのはどうしてですか。」。するとイエスさまはこう答えました。「わたしはあなたを一人になんかしなかったよ。足跡がひとつしかないのは、辛く悲しんでいるあなたを私がおんぶして歩いたからだよ。」。
今日の聖書で「あなたがたが散らされて自分の家に帰ってしまい、わたしをひとりきりにする時が来る。いや、既に来ている。」(16:31)ってイエスさまが言いましたと書いてあります。イエスさまが十字架につけられる時、お弟子さんたちはみんなイエスさまを置いて逃げていきました。お弟子さんたちだってそうだったんだから、私たちもみんな逃げてイエスさまをひとりぼっちにすることはあるかも知れないね。「しかし、わたしはひとりではない。父が、共にいてくださるからだ。」(同)。神さまがいつもイエスさまと共にいてくださり、そのイエスさまがいつもわたしたちと一緒にいてくださる。「だいじょうぶ、いっしょにいるよ」って。
わたしたちがイエスさまを見捨てることがあったとしても、イエスさまは、何があっても絶対わたしたちをひとりぼっちにはしないよって仰っているんです。そのために十字架につけられて殺されたとしても、絶対に離れないよ、離さないよって。そのことを「あしあと」という詩がわたしたちに教えてくれているんですね。
ところで、この詩はずーっと長いこと誰がつくったのか知られていませんでした。作者不明のまま世の中に出回っていたのです。ところがある時、不思議なことが起こってこの詩の作者がわかったのね。
マーガレット・パワーズさんという人がいました。この人の夫ポールさんと娘さんが事故に遭い重傷を負って、パワーズさんも腕を骨折してしまいました。ポールさんが集中治療室に入院している時に、看護師さんがポールさんを励まそうとお祈りしてくれて、「あしあと」という詩の書いてあるカードを取り出して読んでくれたのだそうです。その看護師さんは「私はこの詩を誰が作ったのかは知らないのだけど、とてもステキな詩なので」と紹介してくれたのでした。
ところがポールさんは「私はその詩の作者を知っていますよ」と答えたのだそうです。ひょっとして薬が効いているせいだろうかとその看護師さんは思ったそうですが、ポールさんはしっかりした声でもう一度「私はその作者をとても良く知っています。わたしの妻です。」と答えたのだそうです。それで、この詩の作者はマーガレット・パワーズさんだとわかったのです。
ポールさんとパワーズさんが引越をした時に、間違って配達されて荷物が一つ行方不明になった、その箱の中にこの詩が入っていたのでした。誰かがその詩を見つけて「作者不明」として発表され、詩の方が有名になっていたのですね。それがパワーズさんの家族が事故に巻き込まれ重傷を負うというとても辛い時に、ポールさんを励ます詩となって作者の手に戻ってきたのでした。
「勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。」(33)。わたしたちは勇気も神さまから、そしてイエスさまからいただいているんですね。
祈ります。
すべての者を愛し、導いてくださる神さま。イエスさまがいつも私と一緒にいてくれること、だいじょうぶだよと支えてくれることを信じることが出来ますように。かみさまがいつもわたしに勇気を与えてくれますように。このお祈りを、イエスさまのお名前によっておささげいたします。アーメン。