先日、新宿区学校運営課の係長が配置転換となるというので、園長会の後で感謝の会を行った。この職に6年在任するのは稀だそうだが、何代かに亘る課長を良く補佐し、また9園しかない私立幼稚園の運営を行政として本当に良くサポートしてくださった。感謝の会では各園の園長から労いと感謝の言葉が溢れた。
気の置けない楽しい会食。園長たちの直面する日常の様々な出来事もまた料理に味を添える。そんな中で、この人こそ、と思った若い職員が年度途中で退職するという事案が分かち合われた。2つの園で3人が同じように途中退職したというのだ。
四谷新生幼稚園も新人の確保に苦労しっぱなし。今だに募集が満たされないわけで、確かに採用には9園揃って苦労している。そんな現実だ、園長たちの口からどうしたって愚痴が漏れる。愚痴ったところで解決しないわけではあるが、しかしちょっと自分たちを振り返ることもある──たまにだけどね。
以前もこの欄で書いたが、今支配的な価値観でかなり強烈に人心を支配しているのが「コスパ」なのではないかとこの感謝の会でも話題になった。
職種として幼児教育を選ぼうとするとき、自分が拘束される時間、与えられる給与、職場環境、福利厚生等々が勘案され、自分にとって「コスパ」が良いと判断したら応募につながるかも知れない。そして残念ながら多くの幼稚園はコスパが悪いと判断されている。だから募集に応じる人が少ない/いない。
ただ「コスパ」は決して被雇用者にだけあるモノサシではない。雇用側にもそのモノサシはある。そしてそれ以上に、人生にはプライスレスなものが必ずある。プライスがないのだからコスパの分数が成り立たない。幼児教育にはプライスレスな世界、コスパが成り立たない世界が広がっている。それをみんなで共有してほしい。情熱をもってそれを訴えていこうと園長たちは盛り上がる。
この情熱が伝わってくれたら本当に嬉しいのだが。
2025
23Mar
四谷快談 No.208 コスパじゃないよ、プライスレス
