12月半ばには2学期の終了となるので、幼稚園は教会暦より3週早く進む。そこでこの週に幼稚園のクリスマスウィークを過ごすことになる。
年少組は「森のクリスマス」というオペレッタ。動物たちが自分たちの森で「イエスという名の男の子」が生まれたことを喜び、一緒にお祝いしようと駆けつける。ネズミ・ウサギ・ことり・熊がそれぞれ飼い葉桶のイエスさまを拝む。
年中・長はページェントに取り組む。ページェントとはもともとその土地の歴史上の人物や出来事を山車や舞台で演じたことから始まった。そして字の読めない民衆のための絵本でもあった。演じられる事柄を見ることで、歴史や出来事・人物を知るのだ。活字が溢れる時代に下火になっていったのだが、幼稚園では教育効果などもあって、いわゆる「クリスマス物語」をページェントとすることが定着していったのではないだろうか。
2日間の催しを通して、教師たちには毎回(毎年?)同じ感想が呟かれる。「子どもたちは本番に強いよね」と。
練習で苦労を重ねる教師たちにとって、力抜けするほど、子どもたちは当日に強い。子どもにとっても一番緊張を要するに違いないのに、どの練習より本番がいちばん良い出来になる。不思議なことだが、ひょっとしたらそれが当たり前なのかもしれない。
どういうことか。つまり、子どもたちは今日これをやる意図を知っているということなのではないか。なぜこんなことをするのか、なぜ先生たちが妙に力を入れているのか、そしてどうしてお家の人がこんなにも集まっているのか。その意味を知っていて、今日、単に個人に割り振られた役だからではなく、みんなでこれをやることの意味を子どもなりに考え、それぞれに力を出し合っているから、なのかも知れない。買いかぶり?
いや、もし「やらされている」のならこんなにも本気にはならないだろう。きっと伝えたいのだ、彼らの熱い胸の内を。
2024
08Dec