土曜日の東京都庁はほぼ閉鎖されているのだが、玄関前の広場にはたくさんの人が列を作っていた。NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」と支援団体「新宿ごはんプラス」が行っている無料食料配布に並ぶ列だった。四谷新生教会ではグッドネーバーズ・ジャパンが主に一人親世帯を対象に月一度約50人分の配布を行っているのだが、わたしが出会った会では750人近かったという。その直後の生活相談も40名ほどが利用したそうだ。その規模に圧倒される。
わたしといえばその列をかき分けるように第1庁舎にある「北展望室」「南展望室」に上ったのだった。文字通り単なる「おのぼりさん」ではないか。しかも、展望室に貼られているポスターを見て「TOKYO Night & Light」が特別上映を行うと知って、それも見るという「おのぼりの2乗」状態。
「TOKYO Night & Light」とは都庁舎にプロジェクションマッピングを行うイベント。都知事選の折に「2年で48億円もかける無駄」と揶揄されていたもの。第1庁舎と議会棟との間にある都民広場にはけっこうな人が集まっていた。わたしとしても都民税を払う一人ゆえに、その税金の使われ方を視察しよう等という白々しい建て前を抱いてもいた。土日祝日だけの特別上映プログラムは、東宝株式会社のバックアップの下「GODZILLA ATTACK ON TOKYO」。登場するのは高さ100㍍のゴジラ。「VSシリーズ」と呼ばれる作品群で活躍したほぼ等身大。
プログラムに意味があるのかどうか、作品として面白いのかどうか、そもそもイベントとして良いのか悪いのか、判断は様々だろう。わたしとしては「ゴジラは映画館で見るのが良い」とだけ。食料支援に多数の人が並ぶその同じ場所で2年で48億かけるにふさわしいのかどうかも、明言は避けておこう。
ただ、今の「日本」という社会がそこに明示されていたのだ。そして「わたし」もまた間違いなくそこに明示されたのだ。
2024
04Aug