首相官邸のWebには様々情報があるが、その中に「内閣」というサイトがあり、その下に「内閣制度」というページがある。さらにそのページには「国務大臣」という項目があり、そこには「権限」が記されている。それによると国務大臣の権限は「その府・庁・省の事務を統括し、職員の服務を統督する」とある。
いきなりなぜこんなことを書いたのか。それは水俣病の患者などでつくる団体と伊藤信太郎環境大臣との懇談会で、3分を超えて発言する患者のマイクを遮断したことが大きなニュースとして取り上げられたからだ。
この対応を巡って、実際に進行役だった室長は「不手際だった」と釈明し、患者団体の会合に出向き謝罪した様子も伝えられ、環境大臣は「環境省が生まれたのは水俣病がきっかけだった」と涙を浮かべて話したとも伝えられた一連の出来事があった。
熊本県知事は、大臣と団体との懇談後に被害者側が環境省の対応について抗議していたことについて「大臣も環境省も事実上つるし上げになっていた」と定例記者会見で述べた。すぐに訂正し「非常に厳しい怒りを込めて叱責されていたことを言いたかった」と釈明したようだ。
で、どうして首相官邸のWebなのか。大臣の権限の中に「事務を統括し、職員の服務を統督する」とあるのだから、進行役の室長の対応が行き過ぎだともし大臣が感じるのならその場で室長を制することも権限の中だ。それをしなかったということは、室長の行動を肯定したことだ。あとから涙を見せても文字通り「後の祭り」。で、県知事は熊本県を代表するのだろうから、先ずは患者団体の側に立つのが当然だった。でも彼は永田町や霞ヶ関の下請けに過ぎなかった。訂正も釈明もむしろ「語ったこと」こそがあなたの本心でしょ、とされるわけ。
「人民の人民による人民のための」政治なんてお花畑の話なのだろうか。同じ構造がキリスト教界にもあってゾッとするが。
2024
12May