給食業務を請け負った会社が突然連絡不通になり、その日から学校給食などに支障が出ているというニュースを目にした。
広島県に本社を置く会社だったようで、広島県下7つの高校が委託していたそうだが、そのうち6校は2025年3月までの契約だった。継続は無理と判断し9月6日に契約を解除したという。契約書には「履行期間中に業務を完了できない場合、違約金を支払わなければならない」という項目があり、広島県教育委員会は会社側に数百万円の違約金を請求したとも伝えられた。
わたしの記憶に依れば昔々「自民党をぶっ潰す」と公言した人が総裁・総理になった頃から「民営化」という言葉が到る所で使われるようになった気がする。挙げ句は郵政民営化を争点に解散総選挙をしたのだった。国民に何を「信」として問うたのか未だに謎。なのだけど。だけどその頃漠然と心の中に不安が広がったのも憶えている。景気のてこ入れとして民営化も意味があるかもしれないが、儲からない分野だからこそ税金で行っていた事業も相当あるのではないのか、それを利益最優先の民間企業がどこまでキチンと付き合うだろうか、そんな不安だった。今回の給食業務問題ではからずもその不安が的中したかたち。
契約書に書いてあるからという違約金の請求なのだが、そもそも会社更生法適用申請中の会社に違約金に充当する原資などないだろう。さらに漏れ聞こえるところによると、昨今の急激な原材料費光熱費燃料費の高騰に、食費の値上げを何度もお願いしてきたのに、なかなか実現しなかったことが音信不通の原因だと。そうなるとこの教育委員会のやり方が、契約書を盾に無理難題を強いる反社金融の手口のように見えてオソロシい。そういう人たちに「教育」行政を委託して本当に良いのか、広島県の高校生たちはこれを良い「道徳」の教材にしたら良いね。
この国の風景がなんだかどんどん寂しくなる。目に見えるものだけでなく、匂いや空気や音までも。初老の懐古主義なのかな。
2023
10Sep