大手デパートがストライキで臨時休業するというニュースを見ていた次女が「スト? ストって何だ?」と呟いている。彼女が産まれて以後今日まで「ストライキ」がニュースになる事はほとんど無いのだから「ストってなに?」も当然の反応か。
百貨店のストライキは61年ぶりだというから調べてみたら、1962年5月に阪神百貨店が行ったのが最後だという。たぶんわたしは1歳三ヶ月を迎えたかどうかの頃。少年時代は炭鉱や国鉄でストが頻繁にあったし、記憶では学校の先生もストライキをやった気がする。だから昭和世代にはフツーの話なのだが…。
今は組合員組織率がとても低いらしい。労使協議制度が定着してきたことが理由として挙げられるのだが、労働運動や組合運動そのものが「拗らせる人々」みたいなイメージで語られることが多いし、「労働者の権利」と言っても(例えば娘には)ピンとこないのだろう。本当に働く者の権利、自分の権利をどう守るかというとてつもなく大きなテーマなのだけどなぁ。
今回のストがターミナル駅直結の超大型店だったから、スト自体の物珍しさもあってか、かなり大きくニュースで取り上げられた。そして組合側は実に丁寧にスト決行までを取り仕切っていたし、労働者の権利として極めて正統なことを正しい手順で行っているように見えた。一方交渉の相手側は外資に売却することを1ミリも変えないのだから当然決裂するのは目に見えていた。
大きく捉えたら、ここにも日本が買いたたかれる現実があるわけだ。百貨店という業態が時代おくれだという主張もあったが、ではその部分を何が引き受けるかと考えたら、やはり外資系主体のEC、あるいはコンビニしか思い浮かばない。吾ながらなんという発想の貧困。
今さら「Made In JAPAN」とか「JAPAN as No.1」など叫ぼうとは思わないが、それにしてもこの国の沈下状況は目を覆う。今回のニュースはそれをさらに確信させたものだった。
2023
03Sep