まるで初夏のような陽気の東京、今日10日の気温は22度と予報している。ゴールデンウィーク頃の感じ。
先日例によって2匹を連れて早朝の散歩をしていた。「観音坂」と呼ばれる坂の途中に寺が連なっていて、その一つの境内にはみごとな杏の木が植えてある。何気なく側を通ったら、枝いっぱいに丸々とした花芽がみごとな臙脂色をしていた。慌ててわが園庭の杏を見た。昨秋にかなり大胆に剪定されているが、残った枝にやはり花芽が膨らんでいるではないか。足下を見る余裕がなかったのだなぁと反省しきり。
その杏も今週ついにほころび、濃いめのピンクの花をきれいに咲かせている。隣のマンション側に大きなソメイヨシノの木がある。東京地方の開花は17日と予想されているようだが、さすがにちょっと日陰になるあたりなのか、そんなに早く咲くようには見えない。尤も桜も稲と同じで、お日様に当たる温度の積算量が影響を持つのだとか。稲刈りは出穂してから毎日の平均気温の和が1000度を超えたら刈り時、桜はその年の2月1日以降の最高気温の和が600度を超えた日に開花するらしい。
地球上のあらゆる生物はこの環境あってこその生態を持っているのだろう。だから当然太陽の光やその熱を体の中に取り込むことによっていのちを維持し、時を巡らせる。とても神秘的だが、同時に実にシンプルでもある。
人は地球上の生物でありながら、いつの間にかシンプルさを自ら手放し、或いは失い、自分を維持するために恐ろしくこんがらがった。コンプレックスがストレスを生んでいるのかもしれない。
階下から卒園する子どもたちの歌声が聞こえてくる。「さよならなんていうもんか、きっとまたあえるよ」。素直でしなやかなその心を、いつまでも大切にしてほしい。シンプルであることはきっと力強いことなのだ。お庭の木々や草花や、みんなで育てたお野菜が、それを教えてくれている。