先日知人から紹介されて「みんなで考える“新しい学校”」というシンポジウムに出かけてきた。第1部の「夢見る小学校」上映は間に合わず、第2部講演会と第3部鼎談に参加した。
講演の講師は前世田谷区立桜丘中学校校長の西郷孝彦さん。桜丘中学校は「校則のない中学校」。そういう学校に変えてきた校長先生だ。開口一番「学校は何しろ子どもたちが幸せならば良いんです。あとはすべて付随的なこと。」と仰る。
桜丘中学の教育目標はズバリ「すべての子どもたちが3年間を幸せに過ごす」なのだと。困っている子がいて、何故幸せでないのか考え、こうしたら良いんじゃないかとやってみる、うまくいったら全体もそうする。心地よいゾーンに全員を含んでしまえば、皆が幸せでいられる。確かに。
「合理的な理由のない校則を押しつけると子どもたちの考える力を奪う」「みんな同じでなければならないという校則があるといじめの原因になる」とも仰った。
ちょっと怖いデータも見た。学校での暴力行為発生件数といじめの認知件数は他を抜いて圧倒的に小学校が増えている。その理由の一つが担任制にあるのではないかと西郷さんは考えている。クラスに何か問題があるとそれは担任のせいにされてしまう。するとクラスには明文化されないとしてもたくさんの決まりが出来上がる。校則のステルス化と極度の管理化によって子どもの中に行き場のない気持ちが芽生え、そのはけ口が暴力行為やいじめになっているのではないか、と。
話を聞いている者たちは皆、語られる言葉の一つひとつに納得した。だが、そのわたしたちがシンポジウムから戻る先には、講師が指摘するような学校が、社会が待っている。「一人ではどうしようもない」のは確かだが、その一人が自分の半径5メートルを耕すことを始めたら…と思った。
先ずは目の前の子どもたちへ。「みんなが幸せに」を届けよう。