防衛費の増額分を賄うために増税を主張する総理と、増税に反対する自民党という構図がこの週ずっとテレビを賑わしている。
イヤらしいと思うのは、増税派VS反対派という構図の対立が演出に過ぎないこと。いかにも「国民の皆さまのために増税を巡り真剣な議論を重ねた結果、復興特別税の延長で決着しました」と、やりましたアピールたっぷりにこの話を終わらせようとしているのが見え見えではないか。
だけどわたしたちは忘れない。「増税」というキーワードさえ出せば、その是非だけが話題になって、本質から国民の目をそらせることなんて簡単だ、と政治家連中に見下されていることを。議論の本質は、「その財源」の「財源」の部分ではなく「その」の部分であることを。
何故防衛費が対GDP2%と倍増にする必要があるのか。結局憲法の非戦主義をなんとしても崩してしまいたい勢力が、憲法に手をつけるという長い道のりの代わりに、もっと簡単に、散々周辺国の危機感を煽り、国民の不安を演出した上で最大限に利用して、「専守防衛」ではなく「敵基地攻撃」に乗り出したいことが目的ではないか。これは明らかな日本国憲法への挑戦であり、しかも主目的を誤魔化しながら「増税」だけをさも真剣に議論している風を装った詐欺事件、いや、ハッキリ言ったらカルト教団と同様の霊感商法詐欺ではないか。
そのどす黒さは首相のこの発言に露呈している。「国民が自らの責任として対応すべきだ」。勝手にこの国のかたちを変える目論見に増税で迫り、しかもそれに協力することこそ国民の責任と義務であるとする愚。
わたしはそういう責任は負わない。子どもたちに(当然非軍事で)未来を約束するためにこそ責任を負う。抑止力などと言葉を飾ったその実脅しの外交で平和になるという連中に、この国の未来と子どもたちを託することはできない。