「5年後に防衛費を年間11兆円に積み上げたい」という政府の設置した有識者会議が22日、「幅広い税目による防衛費負担」を提言した。「歳出削減などの努力を行ったうえで」というエクスキューズ付きで。敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力の保有」も不可欠なんだって。
どこかの国からミサイルがわたしたちの国に飛んでくるとしたら、無差別爆撃でない限り攻撃が有効(一撃なら必勝を狙うだろうね)な場所に落とすだろうな。ロシアウクライナ戦争戦争を見れば、その場所の候補は社会インフラ、そして対効果が絶大なのは原子力発電所。困ったことにわたしたちの国は58基の原発を抱えている。操業を停止していても攻撃の的になった場合の危険度は変わらない。
そしてJアラートが鳴り響くとき、既にミサイルは着弾した後だったということも非常にあり得る(というか、最近もそうだった)となると、「反撃能力の保有」は憲法を飛び越えて「先制攻撃」にならざるを得ない。敵の兆候が見え始めたらもう早押しクイズみたいなもの、どちらが先に押せるか、だろう。
第一次大戦の悲惨を受けてヨーロッパでは「戦争は外交の失敗」という見方が生まれた。外交を慎重に積み重ねる以外に悲惨を回避する方法はないと骨身に染みたのだろう。カッとなったら見境が付かなくなるのは人間誰しも同じ。エスカレートして戦争ということになって国際法なんか守る指導者はいるまい。となれば、失敗しない外交をどの時点で始める必要があるのか、自ずと答えは見つかるだろう。カッとさせる前に、きな臭くなる前に、では遅い。まだ友好状態にあるうちから(仲間内だけではなく、が重要)不断の努力を積む以外に解決はないということ。そして残念ながらもう失敗続きなのかも知れない。
だけど、11兆円を積むことはそのまま「挑発」であることは間違いない。そんなことに協力したくないなぁ。まして増税で。