最近テレビで、山奥や県境の人里離れた場所やどん詰まりの場所に暮らす人を訪ねる番組が人気だ。複数の局が同じような企画の番組を流しているのもどうかと思うが、観る方も観る方。案外私はファンだったりする。
「どうしてこんな場所で?」と観ている人が思うというところがミソなのだろうけど、よくよく考えたらそんなこと他人様が言うことではないよなぁ。でもやはりそこがいちばん興味惹かれたりして。もちろん住んでいる人たちはいろいろな思いを持ってそこで暮らしている。その人の人生を振り返って見たり、人間関係が明らかになったり、人となりが伝わってくる場面が多い。
そして、かなりの人がその場所で仲間たちとのコミュニケーションを楽しんでいることがわかる。バーベキューは定番だけど、他に住んでいるひとが近くにいない立地を生かして音量爆上げのカラオケルームだったり、近くの子どもたちに収穫体験を無料でしてもらう椎茸農場だったり、キャンプ場だったり。
このコロナ禍や、住んでいる人自体の高齢化などによってそれらのことは過去の話しになっている場合ももちろんたくさんあるのだけれど、人里離れた場所に住んでいてもそれが人と人との交流が切れていることにはなっていないのが観ていておもしろい。
逆に都市のど真ん中で孤立している人もいる。周辺にたくさんの住宅があり、住人も多数いるけれども、人との交流を断っている人、他者から見れば迷惑行為にしか映らなくて、寄せられた苦情を元にテレビ局が取材と称して訪ねて迷惑がられるなんていう企画もけっこう目にする。
人間は本能的に群れ(たが)る。太古からそういう類なのだろう。そうやって人間は「社会」をつくっても来た。それは生きる必然でもあったのだろうが、文明はその必然を少しずつ無化してもいる。コロナがそんな隙に入り込んで、人々は慌てているのかも知れない。本能がアラートを発しているのだろうか。