先日息子の家賃などの請求が来た。銀行印がどれかわからずに自動引落手続きに手間取っていて窓口送金しなければならなかったのだ。その請求金額を思わず二度見した。電気・ガスの代金が一人暮らしとは思えない金額なのだ。
確かにプロパンガスを使う地域ゆえに基本料金や単価は高いのはわかっていた。だがそれを勘案してもずいぶん高い。無駄遣いしたわけでもないのだから原因はいわゆるエネルギー輸入コスト上昇に伴う値上げ。それ以外に考えられない。
ガソリン価格が高いというのもずいぶん前から騒がれている。四谷に越してきたときからマイカーを手放しているので、そのことについては切迫する感じはまるでなかったが、原因は産油国が協調して産油量を制限しているかららしいというのはなんとなくわかっていた。そこへ来てウクライナ戦争のため、ロシアからのエネルギー輸入を公然と増やせない事態になった。
つまり、恒常的に高いエネルギーを外国から買い続けなければならないわけで、急激に問題視されるようになった「円安」も是正される必然が全く見当たらないという事態になるわけだ。
ゴールデンウィークに集まった子どもたちに1ドル360円時代の話をする。そういう時代があったというだけでわたしの個人史に1ドルを360円で交換した記憶など皆無だが。長女がぽつんと「コロナ終わっても外国行けないじゃん」と。360円だった頃海外旅行できるのは超セレブかVIPに限られていたこと。個人旅行者が持ち出すドルが国家財政を左右するオドロキの時代なんだ。1964年に海外旅行が自由化され、1965年JALパック販売開始。まだ1ドル360円時代の話し。お金を使うことこそ夢の実現だった熱い時代の風を感じるではないか。1973年に変動相場制に移行するまでは超円安を背景に輸出で国力を急激に回復していった時代でもある。
今、そんな熱気が生まれそうな気配はほとんどないのだなぁ。