銀行の名義変更で昼の街中を何度か歩く。日差しが厳しいのだが、なんだか目に見えるいろんなものが新鮮に感じられる。
目当ての銀行は手前にも奥にも繁華街の通りを控えている。四谷界隈にはいわゆるチェーン店ではない独立している店が多いようだ。どこもとても魅力的。すぐにでも通い詰めたい。
そんな中の一軒。裏通りで周辺の飲食店もぽつりぽつりという立地だが、手書きの黒板(告知板)にこんな文字が躍っていた。「みんなで乾杯する日まであと11日」(10日午前現在)。どうやら3度目の緊急事態宣言が解除される6月20日までのカウントダウンなのだ、と気づいた。
その店の周辺でも「臨時休業」の貼り紙ばかり目だった。四ツ谷駅前の「しんみち通り」には午後11時を過ぎても明かりが灯っている店も見かけたが、ほとんどは6月20日まで休業か、もしくはランチを重視する方針に転換している模様。住まいの近くで気になっている店は手書きの告知板を何度も何度も書き直している。今度こそ、という切ない思いが伝わってくるようだ。
だけど、その待ちに待った6月20日に全てが元通りになるとは到底思えない。たしかに「みんなで乾杯!」したい思いは日増しに膨らむのだが、心の一方で盛んに警報が鳴り続けてもいる。「以前のようにはならないよなぁ」「やっぱり喜んで入ろうという気にはなれないなぁ」と。
職域接種の申請が2日で一千件を超えたというが、ニュースを盛り上げようという雰囲気ばかり感じられて気持ちはどんどんシラケてゆく。大人気と思われた「大規模接種会場」ですら多数のキャンセルを含むアキが目立っている現状ではね。
57年前の思い出が聞きたいんじゃないんだよ。そこじゃない。